【ブログVol.1】決断しなければならない - ある経営者の教訓

2015年12月9日
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ある奇怪な事件で次のようなメモが見つかったと想像しください。そこには、公の場では決して明かされることのなかったCEOの秘めた思いが書かれていました。

Man jumping over precipice between two rocky mountains at sunset. Freedom, risk, challenge, success.

私は、Fedora Russia社との契約について私が本当に深く考えていることを、皆はきっと信じてくれると思っている。今でもDaleは、アジア全域に模倣品を売るために、Fedora社が我社との提携を利用して我社の技術と設計を真似ねるかもしれない潜在的な危険性を口にする。あまりDaleが自身たっぷりに言うので、MarthaGideonも今まで熱心に進めてきた契約を見直すに違いない。似たことが起きた典型的なWin-Loseの実例として、Daleは決まって、英国側は失敗し中国側は大成功したイギリスと中国の企業の提携の話しを引き合いに出す。

私は小さい娘のことが心配だ。まあ”小さい”というのは正確ではないけれども、先週私たちは彼女の22歳の誕生日と一緒に、スタンフォード大を優秀な成績で卒業したお祝いをした。彼女は末っ子で、どうしても慣れないコンタクトレンズをやめるために、レーザーを使った目の手術を受けることを決めている。

Marthaは、Fedora社が我々に理不尽なことをする確率は低いと言いたいのだ。今のFedora社の主要な市場はすべて西ヨーロッパにある。さらにMarthaは、ロシアの新興財閥の総主でFedora社のオーナーのIlia Mushkinは、そもそもアジアよりヨーロッパで事業を展開したいのだから、我社との提携の将来性を認めているはずだと言う。Daleはそんな考えは1日で失せてしまうと言う。理論的には彼が正しい。しかし、起きるとしても確率はかなり低い。Fedora社は、彼らがヨーロッパに輸出している限り、我社の方には彼らに痛手を与えるに十分な法的手段があるのは確実に分かっている。Daleが言いたいのは、最悪の場合は甚大な損失を被るということだ。我社は、インド、マレーシア、インドネシアの輸出チャネルを開拓するのに1500万ドルを投じた。しかし、考え難いが万一投資がすべて無駄になっても、会社は持ちこたえるだろう。しかも、提携による事業の将来性は、Fedora社はもちろん、我社にとって極めて大きい。

娘の状況はそれとは違う。目の手術が失敗すればダメージは極めて大きく、彼女の生活全体の質が低下するだろう。私はそれを考えないようにしているが、起き得る結果を考えるのをやめても問題は何も解決しない。逆に、手術が成功すれば彼女の生活の質が向上するだろうし、成功する確率は非常に高い。実際彼女が言うには、その眼下外科医の成功率は今のところ100%だ。それでも「知らないもの」への恐怖は小さくならない。失敗の確率が全く分からなくて、そんな重大な決定をどう考えたらよいか分からない。実はそれに関して私には発言権がない。私の娘は、もう大人だし助言も求めない、ただ何をするつもりかを教えてくれるだけだ。

DaleMarthaは、私が決めると思って私の方を観ているのが分かる。Gideonは考え込んでいるようだ。彼は多分、Fedora社との契約が破談になった場合の彼自身への影響を心配しているのだろう。彼が深く関わった前回のプロジェクトもキャンセルになっていた。

Fedora社に関する決定は本当に簡単か? 娘に起るかもしれないこととは違って、大失敗のリスクはさほど大きくないにしても起きる可能性は大きい。しかし本物の大惨事とは言えない。ただ他にひとつ考えておかないといけないのは、取締役会の役員たちの言うロシアプロジェクトが失敗すれば、皆私を非難するということだ。何かもう少し用心が必要かもしれない。

私は「Fedora 社の敵対的行動から我々を守る条項を何か契約に盛り込めないかClaireに聞いてみよう」と言う。Claireは我社の法律顧問だ。Marthaの目から希望の光が消えるのが分かる。Gideonは浮かない顔をしたままだ。Daleがどういう態度に出るかは確信がない。皆は、私がたった今ロシアプロジェクトを見殺しにしたことを理解している。

私は、是非あなたの意見を聞きたい。そして、次の3つの質問について議論したい:

1.会社はロシアプロジェクトを承認すべきですか? はい/いいえ

2.CEOの娘は手術を受けるべきですか? はい/いいえ

3.この話に出てきた組織の代表者として意思決定をするとしたら、一般的な本質的問題は何かありますか? もしあれば、それに対して何ができるでしょうか?

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: A decision is required – a management story with a lesson

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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