【ブログVol.4】不確実性への対処においてTOCがこれまで成し遂げたこと

2015年12月23日
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TOCは常に、日常的でどこにも必ず存在する不確実性に着目してきました。しかし、不確実性に対処するツールの全体的な波及効果を完全には一般化していませんでした。そこで、この記事では、DBR、CCPM、在庫補充のソリューションから生じる広範なインパクトを強調して述べようと思います。

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日常的で避け得ない不確実性に対処する上で、キーになるTOCの重要な用語を挙げると次のとおりです:

  1. バッファ(Buffers)
  2. バッファ管理(Buffer Management)
  3. 保護能力(Protective capacity)
  4. 的を絞った疎な計画(Thin and focused planning)

バッファ: 私にとっては、必須の要素として目に見えるバッファを計画に入れるという発想は、不確実性への対処において画期的な出来事であり、その「対処」には人間の行動に対する側面もあるというのが、私の解釈です。部下は常にバッファで自分を守ろうとしますが、それにはバッファを隠さなければなりません。見えないバッファを使う一番の問題は、組織としてはバッファの必要性を認めないので、痕跡を残さないよう常に使い切って無駄にしてしまうことです。

計画の中に目に見えるようにバッファを入れることは、計画の立案者が考えないといけない、下記の問題を提起します:

  1. 何をバッファで守るのか? バッファをあちこちにばら撒くべきか、それとも、どこか特定の場所に集中させるべきか?
  2. どうやってバッファのサイズを決めるか?
  3. そういうバッファを確保しておくコスト(代償)は? 得られる メリットは何か?

この問いにちゃんと答えようとすれば、人々は不確実性の影響を受け入れ、確率論のある重要な知見を取り入れざるを得なくなるはずです。

バッファ管理:  これはTOC独自の考え方です。バッファの実際の消費を見て意思決定の指針にするような考え方は、他に知りません。ただし、バッファ管理は、高頻度で少しずつ消費されるバッファにのみ有効です。警報システムや保険のように、使い切るか全く使わないバッファは、バッファ管理では扱えません。

このバッファ管理の価値は次の2つの点にあります:

  1. 実行フェーズの単一の優先順位付け方式を規定して、計画した目標(目的)すべての達成を目指す。
  2. 計画立案に役立つ価値の高い情報をフィードバックして、より適正なバッファサイズの見積もりを含めて、その後の計画の質を高める。

保護能力:  これは、キャパシティを需要に等しくできるという幻想と効率症候群に真っ向から衝突するもので、最も啓発的な考え方です。ここで重要なメッセージは、十分な余剰キャパティ(保護能力)を確保しておかないと、外部と内部の両方の不確実性のせいで、約束の遵守に対する市場の信頼を大きく損なうということです。しかし、どれだけ保護能力が必要か教える公式は存在しないのは覚えておいてください。バッファ管理は、保護能力が危うくなりそうなリソースが一つでもあれば知らせますが、それとは反対に保護能力が大き過ぎるとは教えられないのです。

的を絞った疎な計画: これは明確な言葉になっていなくても、TOCで重要な基本的考え方です。5段階集中プロセス(5FS:Five Focusing Steps)を見れば、計画フェーズで重要なルールは、制約の最大活用(Exploitation)だということになります。一方、従属(Subordination)の方は、実行を第一の目的とし、最大活用の計画にバッファを加えて、実行フェーズでその計画が順調に進捗することを保証することです。DBRと在庫補充(Replenishment)はどちらも、非常に疎な計画(thin planning)を使って、多くの判断を不確実性の影響が実際に分かる土壇場まで現場に任せます。しかし、CCPMは疎な計画という方向性にまだ完全には沿っておらず、そこが最近のJames Holt教授とSanjeev Gupta氏によるCCPMのプランニングの簡易化という動きに繋がっています。

私たち全員、以上の成果のお陰で、経営者とマネージャーが不確実性を現実として受け入れ、それにうまく対処できるよう、もっと良いツールを開発しようという勇気が湧いてくるはずです。経営者やマネージャーのほとんどがその必要性には気付いているが、そうすると不当な批判を受けるという恐怖に捕らわれているだけだと、私は思います。

起き得る不確実な結果がちゃんと言語化し、限定的なダメージを被ることもあると理解した上で、「ほぼ常に大きな利益を生む」よく考え抜いた判断に決断意思決定者を導く、堅固な意思決定プロセスが確立されてはじめて、高い不確実性に晒されながらも、卓越したパフォーマンスを達成できるのです。ここで強調しておきたい重要な点は、組織が耐え得る「限定的なダメージ」というところで、そのお陰で、後になって当時の判断の正しさを証明するのに、その熟慮した潜在的結果が役に立つのです。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: The current TOC achievements in handling uncertainty

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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