【ブログVol.23】どんな戦略にも欠かせないカギを握る要素

2016年3月4日
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Businessman trying to change the down going profits of the company

以前も言いましたが、大文字のSで始まる戦略(Strategy)ゴールを達成するための計画です。残念ながら将来の計画が何もない組織があまりに多すぎます。生き延びるのに精一杯なところもあれば、同じグループの顧客に同じ製品やサービスを提供し続けて、ほとんど変化しようとせずに、ただ停滞しているだけのところもあります。それ以外の組織は非常に野心的なビジョンとミッションを掲げていながら、本気ではありません。

ひとつの組織、いやどんな組織にとっても、どうやってゴール以上に達成するか計画を立てるのが、何と言っても大事ですよね? それなのに、一体なぜ将来を考えるのが無意味に思えるほど、多くの組織が現状にしがみつこうとするのでしょうか?

現状を改善し得る新しい戦略を探すのを嫌がる大きな原因は、すでに得たもの失う恐怖です。因みに、その妥協策は競合他社の模倣です。コピー能力が高度に発達した銀行や航空のような業界を見れば、その習性がよく分かります。

この模倣行動が、特定の業界で長く信じられてきたパターンの快適ゾーン(Comfort zone)に組織を留めおくのです。そのひとつのリスクは、「常識破り」なライバルが、今までの常識を覆して、模倣を困難にして市場の主導権を握るかもしれないことです。サウスウエスト航空は、大きな航空会社に対してそれをやって、格安航空会社(LCC)という新しいトレンドを開拓しました。

惰性から脱出するのは、その特別な快適ゾーンの外にいる人の協力を得て、一見馬鹿げた質問と見当違いな提案をしてもらい、「何故そうしないんだろう?」という疑問が湧くものを見つければ、もっとうまくいくのではないでしょうか。

因みに、戦略は一連の特定の取組みのフローを示したものです。そして、組織における取組みのフローは常に、経営者や管理者の注意力(マネージメントアテンション:Management attention)という内部の制約に制限されます。この究極の制約の最大活用は、将来に向けた最も有望な少数の取組みにフォーカスすることです。したがって、達成すれば組織のパフォーマンスを一段高い新たなレベルに押し上げるような、肝になる一つの要素を見つけなければなりません。しかし、どんなに重要な要素でも、それを有効に機能させるには、そのための一連の取組みが必要になります。そして、その重要な要素に必要な特徴は下記のとおりです:

  • それによって売上が大幅に伸び、高い値段で買ってもらえ、大幅にコストを削減できるようになる
    • 新しい価値を需要の大きな市場セグメントに提供するのが最も効果的な方向性であり、それは販売量を伸ばす能力と高い値段で売れる能力の両方に大きく貢献する。
  • 戦略の成否を握る肝の要素が何であれ - 競合が簡単に真似できるものであってはならない。
  • その肝の要素は、組織の独自の能力をベースとするものでなければならない。
    • そうでないと競合が容易に真似できる。
    • その独自の能力で別の新しい能力を学習または獲得し得る。
  • そのために提案された変革(変化)は、リスクが小さい、または慎重にやれば大きな損失を出さないで事前にテストできる。

そういう戦略の肝になる要素は、そもそもそれ自体戦略が達成すべきものなので、ゴールドラット博士は決定的な競争力(DCEDecisive Competitive Edgeと呼びました。ここで分かって欲しいのは、組織がひとつでも本当にDCEを獲得すれば、リスクのレベルが全体的に下がることです! どうしても最後まで残るリスキーな部分は、そのDCEが本当に有効だと保証することです。

ここで注意すべきは、DCEを獲得することと市場全体を支配することは違うということです! それは、ある特定の市場セグメントで優位性を獲得したという意味です。ですから、市場の別のニーズでの優位性によって競合他社が他の市場セグメントを支配するかもしれなのです。

明確なDCEを持つ組織はごく少数です。しかし、その知名度が高い組織は、他の多くの組織もそういうDCEを持っているかのような印象を与えています。念のため例を挙げておくと、アップル、グーグル、トヨタ、メルセデス、ロンリープラネット、ザラといったところがあります。

非常に大規模な企業は、大きいことによる自然なDCEがあります。つまり、彼らの製品は「安全な買い物」(SAPやIBM、LGのものなら間違いない)に見えるのです。ですから、自分独自のDCEを考え出して、それを武器に大きな企業から市場の一部を「盗む」のは中小企業の義務です。

レンタカー会社エイビス(Avis)は「私たちは業界ナンバーツーです、だからその分一生懸命やります。(“We are number 2, we try harder.”)」というスローガンで多くの人々から親しまれました。このスローガンは市場を2つのセグメントに分けました。より安全に感じるナンバーワンを好む人々と、自分を大事に扱ってもらいたい人々の2つのセグメントです。エイビスのDCEは後者のセグメントをターゲットにしたものです。

ゴールドラット博士は、TOCの知識体系を独自の武器にした、有望なDCEをいくつか考え出しました。それは、アベイラビリティ(訳注:欲しいときに、欲しいものが、欲しいところで手に入ること)の保証である場合もあれば、RR(Rapid-Response:短納期)である場合もあるでしょう。しかし、それらが真のDCEを獲得する唯一の選択肢だと思ったら大間違いです。

私は、DCEを見つけ出すのは、組織ひとつひとつの経営トップ・最高幹部の義務であると断言します。基盤がしっかりして安定したDCE以外に、組織の安心できる未来を保証できるものはありますか?

そうだとすれば、組織はどうやってDCE を見つけ出せばよいのでしょう?

  1. 経営トップの責任だと認識する。
  2. 新しい能力(技術やスキル)の習得も含めて、組織がもつ能力を吟味する。
  3. 組織が満たせる多くの潜在顧客のニーズあるいは願望を特定する。
    1. 注: そのニーズが何かによって、それを満たすことに大きな価値がある市場セグメントが決まる。
  4. それはすぐには真似できないことを確認する。
  5. 有望な顧客にそのすべての価値を知ってもらう方法を開発する。
  6. 入念に計画を練って、その顧客に特別な価値を届けるに必要なことはすべて実行する。
  7. まずアイデアを試してみて、最低限の期待値も達成できないときは常に警告を出す。

これからも戦略に関する記事をもっとたくさん投稿するつもりです。そこでは、余裕があるうちに潜在的な脅威を特定できるための、DCEのパワーのチェックからDCEの獲得に必要な変革のプランニングまでカバーする議論をしようと思っています。

将来有望なDCEのアイデアを一緒に考えませんか?

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: The key element for any Strategy

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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