【ブログVol.35】壮大な技術的アイデアの失敗 第2部

2016年3月28日
/ / /
Comments Closed
Share

調査チームは、期待・予想と結果のギャップ(乖離)から正しい教訓を学びとることを追求し続けました。

今追及しているギャップの構造を形式的に表わすと次のとおりです:

_EliSchragenheimBlog_POST35_fig_1

因みに、仮説を立てるというタスクは、ごく少数の分かっている事実に基づいて、偏見にとらわれない姿勢を保ち、あらゆる可能性を受け入れることです。そうすると、どの仮説も、それを否定または裏付ける情報の発見にチームを導くはずです。

調査チームは以下の仮説を立てました:

仮説1: そもそも期待が現実的でなかった - 警告すべきときは必ず警告し、警告すべきでないときは決して警告しない、そういう完璧なシステムを作るのは無理だ。

仮説2: プロジェクトメンバーは自分たちが開発できるものを開発した。つまり、難し過ぎると思ったものは開発されなかった。

仮説3: プロジェクトメンバーは、本当に接近されたとき警報を出せないことを犠牲にしてでも、誤報を防止することを重視しようとした。

仮説4: Wise-Camerasが何をすべきかについて、経営トップが承認した明確で詳細な仕様がなかった。

仮説5: 専門性の高いセキュリティ・チェック部門の人々が、システムの開発に十分関与していなかった。

仮説6: プロジェクトチームは、こういうミッションに必要なすべてのスキルを持っていなかったが、成功をアナウンスすることで経営トップにその事実を隠そうとしていた。

これで、仮説はチームメンバーが普段使っている日常の言葉で言語化されました。これらの仮説のいくつかに明確な因果関係があります。したがって、いくつかの仮説は正しい可能性が高い。この段階では、チームは仮説それぞれがギャップの説明になっているかを簡単に確認します。

考え得る説明の言語化:

問題のギャップが生じた原因として追加した結果も、実は正当かどうか同様の検証が必要な新しい仮説であることに気を付けてください。ですから、このケースで実在するかどうかを裏付ける既知の事実を確認しなければなりません。

_EliSchragenheimBlog_POST35_fig_2

運用上の原因が明確に現れるまでの事実を検証すること

基本的な仮説から導き出した考え得る説明をいくつか言語化するのは、以下のような直接的な事実があったので、チームにとって何の困難もありませんでした:

  • 経営トップは、次の主要な要件に関する大雑把な仕様しか言葉として示さなかった:
    • 防護する建物のドアや窓にたどり着く前にシステムが侵入者を識別しなければならない。
    • 誤った警報の数を最小限にする - 誤った警報は最高で5%。
    • このシステムには、他のカメラベースの防犯システムのどれよりも明確に優れた優位性がなければならない。
    • 管経営陣は、人間の警備員が画面を監視する必要性をなくさなければならないことを、書面で指定しなかった。しかし、その必要性は何回かの非公式な話しで提起されていた。
  • プロジェクトリーダーのRaphael Turinaは、書面にある要求はすべて達成するつもりであり、画面を見なくて済むようになるとまでこぎつける努力をすると、経営トップに話した。
  • CEOのSam Fullerは、Raphaelは画面を監視する必要があるかどうか、経営トップに知らせると約束したと言った。
  • Raphaelは、書面に書かれた要求にはすべて回答したとSamに知らせたと言った。
  • 人が地面を転って建物に近づくというアイデアは開発チームからは出なかったので考慮されなかった。
  • 大きな技術的課題は、人と動物の動きを区別することだった。チームは、動物は4本の足があると仮定し、それを拠り所に超高度な画像認識を考えた。
  • プロジェクトの専門家は皆、最高の専門的スキルを持っていることが判明した。
  • RaphaelとAlexは両方とも、セキュリティに関して非常に幅広い経験がある。
  • プロジェクトの専門家も内部の管理者も、そのイベントでの試験の計画には関わっていなかった。 

間接的に確認された事実:

  • プロジェクトチームは、失敗や達成できなかった仕様を経営トップに知らせるのに消極的だった
    • RaphaelとAlex、他のメンバーはそういう傾向を否定した
    • しかし、メールや経営トップへの報告を確認したところ、内部テストの成功の詳細な報告はあったが難しい問題の報告なかった。
    • 過酷な気象条件では動きが認識できないという、一つの明らかな失敗が報告されていなかった。
  • 経営トップは、システムが認識中に人間の介入は必要ないと確信していた。
    • 外部試験チームのマネージャーGilbertと調査チームの代表が、画面を監視する人間は不要だったGilbertが理解していたと証言した。
    • 外部試験中画面を監視することになっていた者は誰もいなかった。

判明した事実の概略:

そのプロジェクトには、要求仕様の明確な定義が欠けていた。すべてカバーしようと努力したが、いくつかの問題が生じた。明確に特定された2つの問題は次のとおり:

  1. 非常に悪天候だとカメラが人間の動きを識別できない。
  2. プロジェクトチームは、建物に近づく不審な動きを認識する必要性と間違った警報が出てしまうことの間の対立を抱えていた。この対立は、2本足で動くという前提で人間の移動を識別しようという妥協の判断に繋がった。そして、他に考えられる例外や回避行動は議論されなかった

その問題は、システムは完璧で画面の監視の必要性を排除すると思い込んでいる経営トップには報告されませんでした。一方、プロジェクトメンバーは、書面に書かれた要件はすべて満たしたと思い込んでいました。しかも、プロジェクトチームは、書面に書かれていない事項については、状況を報告する必要がないと思っていたのです。経営陣の方は、書面に書いたものだけでなく、すべての要件に対して適切な答えを見つけていると思い込んでいました。

ここで皆さんに質問です:  

  1. やっと何が起きたか分かりました - まだ何か他に私たちが知らないといけないことがありますか?
  2. さてどうしましょうか? これで調査は完全だと思いますか? 

次回に続く!

 


関連記事:

壮大な技術的アイデアの失敗 第1部

脅威が出現する前兆を察知する

壮大な技術的アイデアの失敗 第3部


著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: The failure of a grand technological idea – part 2

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

Share

Comments are closed.