あるスーパーマーケットチェーンの経営幹部との商談があると想像しましょう。あなたは、そのチェーンはどの店舗も毎日平均12%欠品しているのに苦しんでいると知っています。そのチェーンは全国で1,125店舗展開しています。
あなたは、その大事な商談の準備として、国際的に有名なTOCのエキスパートが提供している30分無料相談サービスに申し込みます。
あなたは、その代表的な店舗は約30,000種の商品を抱えているのは先刻承知です。つまり、それらの店舗では毎日3,600もの商品が欠品しているのです。
あなたの頭にある一番の疑問は:
現実として全商品で卓越したアベイラビリティを保証するのは可能なのか?
そもそも、どれくらいの水準のアベイラビリティ(訳注:欲しいものが、欲しいとき、欲しいところで手に入ること)なら十分満足してもらえるのか?
ここから先は、Y(あなた)とE(TOCのエキスパート)の(仮想の)問答です。必ずしも元の疑問に答えるものではないかもしれないが、最終的にはニーズに合う実務的な答えが出るでしょう。
E:そのチェーンの目標はもっと多く売ってもっと利益を大きくすることですよね? 因みに、欠品率が今の3分の1、約4%になるとして、どれくらい売上が増えますか?
Y:2つの効果で売上が増えます。第一に、これまで欠品していた8%の商品が今度は販売可能になります。第二に、欲しいものが無くて失望する顧客の数が減って、競合の店ではアベイラビリティに満足できないと知った新しい顧客が我々の方に来るようになります。
E:ちょっと待って、本当に欠品で逃す売上はどれくらいですか? 第一、欠品していた8%の品物の売行きが、全商品の平均的な売行きと同じかどうか分かりませんよ。コカ・コーラのように多くの顧客に影響力があると思われる商品は、店舗は最善の注意を払って補充するでしょうからアベイラビリティは高くなるでしょう。でも、売れ行きの悪い商品は欠品する可能性が高くなります。しかし、もっと重要なのは、多くの場合、類似商品を見つけるのは容易で、顧客は代わりにそれを買うから、必ずしも欠品で売上を逃しませんよね。ですので、12%の欠品が売上に本当はどれだけ影響を及ぼすか、もう一度考えてみませんか?
Y:しかし、無い商品の代わりが見つかったとしても、顧客が失望するには変わりませんよ。顧客は、遅かれ早かれ、どこか別のチェーン、つまり私たちの方が他よりも遥かにアベイラビリティが高いと知るでしょう。
E:でも、あるチェーンが他に比べて欠品が3分の1しかないと、どうやって顧客に分かりますか? 顧客が実際に確認すると思いますか? どの商品が欠品していて、どの商品は単にこの店で扱っていないだけだと、どうやって顧客に分かりますか? こちらが本当に優位だと顧客が気づくまでにどれだけ時間がかかりますか?
Y:アベイラビリティが大幅に上昇したら、そのチェーンは、自分たちの店舗の方が競合他社よりアベイラビリティが高いことを宣伝すべきだと言ってますか? 顧客がそういう曖昧なメッセージを信じるとは思えないし、どっちみち、パラパラと何か欠品が出るのは変わりません。そんな状態で欠品に対して補償するのは安全ではないでしょう。私は、他よりアベイラビリティが高いのを宣伝しなくても、高いアベイラビリティのお陰でしばらくすれば売上が3〜4%上昇し、しかもTOCのソリューションで在庫も減るから、利益は順調に伸びると思いますよ。
E:そのとおりですが、それがTOCのお陰だと証明するのは非常に難しいでしょう。市場に付加価値が知れ渡らないと、売上の伸びは遅いし、その恩恵には疑問の余地があります。
Y:私の一番の関心事は、本当に目覚ましい結果に繋がる成果を短期間で見せることが重要だということです。他に何かアイデアはお持ちですか?
E:ひとつ質問していいですか:
どうしても30,000品目すべて完璧なアベイラビリティを保証しないと駄目だと思うのはなぜですか?
多くの商品は別のものに替えても問題はない。それらは幅広い品揃えを提供するために陳列されていますが、大半の顧客は1つくらい商品が欠けていても気にしません。
Y:なるほどそれで、少数の重要商品に限って完全なアベイラビリティを保証すれば大丈夫なはずだと、あなたは言うんですね?
E:いえ、本当に重要な商品だけではありません。それを買うつもりで店に入る顧客がいる商品すべてです。顧客は、すべてのブランドとサイズの商品が手に入るとは思っていません。店舗は30,000の商品を選んで置いています。つまり、置いていない商品も多いということです。しかし、顧客が積極的に探し求める商品もあり、その商品はあると思って店に入ります。そういう商品が2,000とか5,000あってもおかしくありません。 TOCの補充ソリューションを導入したあるチェーンは、5,000の商品で卓越したアベイラビリティを保証して、決定的な競争力を獲得しています。 それは、30,000品目すべて完璧なアベイラビリティを保証しようとするよりも遥かに効果的です。
Y:確かにそれは興味深いと思いますが、そのチェーンがすべての店舗で完璧なアベイラビリティを保証する商品を掲載したカタログを発行すべきだと私は思います。
E:たとえば、5,000品目のうち3,000品目は全店舗に常備するとチェーンとして約束する品物で、残りは店舗によって違うというのでもよいでしょう。つまり、チェーンの常備品カタログと店舗ごとの常備品カタログがあることになります。店舗の常備品のデリバリで、中央倉庫と地域倉庫のロジスティックにいくらか影響が出ますが、それを解決するのは比較的容易です。
Y:では、常備品カタログに載せない商品の在庫はどう扱えばよいか教えてもらえますか?
E:在庫品目/保管場所ごとにバッファを持って、常備品と同じ方法で継続的に補充すればよいのです。違いは何かと言えば、バッファ管理ではそれらの商品をレッドゾーンに入れてはならないことです。それらの商品のアベイラビリティを全体として「うっかり忘れる」ことがないようにするには、バッファをグリーンゾーンかイエローゾーンに保てば十分です。
Y:適正なバッファのサイズを調べるには、どうしたらよいですか?
E:在庫バッファがブラックゾーンとグリーンゾーンにある時間の統計を使います。ともあれ、そんな話題はそのチェーンの幹部役員との初回の商談では出ないでしょう。
Y:ありがとうございました。今後も宜しくお願いします。
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著者:エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。
この記事の原文: Virtual questions and answers session: Can we safely commit to full availability of all items?