【ブログVol.114】ビックデータの重要性

2018年6月18日
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Amir Schragenheimと私2人の投稿

ビックデータは重要だと思いますか? どんな組織でもそこから大きな価値を引き出せますか?

Amirと私は、ほとんどの経営者の究極の答えは「大きな可能性を秘めているのは認めるが、膨大なデータに溺れるのも問題だ」(ゴールドラット博士の著書The Haystack Syndromeから)というものだろうと思っています。

まあ、ビックデータから見つかる価値はそう大きくないと思う人が一杯いいそうですね。ですので、大きな潜在価値があると思う人々、多分私たちは、自分の主張を裏付けないといけないかもしれません。

狭い形のビックデータは、様々なデータベースと書式から特定のデータを抽出するクラウドソフトウェアツールを用いて、比較的安価に大量のデータを蓄積し、人間であるマネージャーが本当に重要なものに集中できるよう、それらを整理するという、どこの組織でもできることです。

もっとずっと広範なビックデータのアプローチでは、インターネットを介して自由にアクセスできる外部リソースから得られる膨大な量のデータがあります。Google、Facebook、LinkedInはそれを行うツールを提供しています。また、一定の費用でデータを検索して使える公開データベースもあります。

ここに挙げた遠隔データへのアクセスを提供する3社のように、ビックデータから多くの価値を引き出している組織、多分大組織、があるのは明らかです。それら巨大組織は、狙った視聴者に向けて集中的に広告を打つ手段を提供しています。非常に限定した市場セグメントに提案する手段があると、その顧客の好みに関する知識を得るのに使えるのです。

電子商取引部門、特にオンラインストアは、ウェブサイトにアクセスしたすべての人から取得した膨大なデータを使い、顧客が行う動きをすべて記録して、その顧客が何に興味があるか判断します。その蓄積したデータの分析は、さらに別の商品をその顧客に売れる絶好のチャンスを作る突破口になるのはもちろん、将来取引する顧客の獲得にも繋がります。顧客一人ひとり固有の好みを推測する以外に、買う商品を選ぶときの価格の役割など、顧客の集団の包括的な理解をより確かなものにすることもできます。

一方、物理的な小売店は、売上実績をちょっと分析する以外、顧客の好みを反映したデータを収集することにあまり労力を使いません。顧客の情報を直接入手せず、さらに悪いことに、売上を伸ばすにどのデータが役立つか知らないと、データがあっても何の助けにもなりません。小売店は、もっと儲かるようになるに必要なデータを収集できないせいで多くを失っています。

ですから、非常に的確なデータを簡単に入手できる企業は、経営上重要な問いに正しい答えを見つけて、多くの価値を獲得します。それ以外の組織はそうはいきません。

膨大な量のデータを蓄積して分析できる新たな技術が市場に登場すると、似てはいるが実は異なる2つの質問が出てきます。

  1. その技術があるとして、我々は利益を生む使い方をできるか?
  2. 今ある障害を前提として、その新たな技術で我々は今の限界を克服できるか? もしそうなら、その利益はどんなものか?

多くの組織は、重要な新技術がもたらす利益を直ちに理解できません。つまり、最初の質問に対する彼らの答えは「No」です。

しかし、障害を克服できるかもしれないとすればそれはいったい何かを分析する努力をもっとすべきだと私たちは考えます。今組織はそれを変わらない現実として我慢していますが、その障害が課す制限を新たな技術が大幅に緩和するかもしれません。そうなると、新たなチャンスが見えてきます。

ゴールドラット博士が提唱した、新技術の価値を評価する6つの質問の2番目は、次のように言っています:

その新技術が解消または大幅に軽減する今現在の制限または障壁は何か?

膨大なデータを蓄積する価値は曖昧で徒労に終わる可能性が高いので、記憶装置の分かり切った限界は、この質問の答えとして適切ではありません。それに、膨大なデータを収集する際の遅く重いスピードを改善し、分かり易く整理しても、必ず価値がもたらされるとは限りません。

しかし、私たちには、組織が取り組む重大な問題について、より的確な情報を欲しいという願望が常にあります。決定を下さないといけなくても、決して完全な情報は入手できません。ですので、意思決定は、変動と未知のせいで常に高い不確実性が伴います。この根本的現実はずっと変わりませんが、正しく的確な情報を収集し、それを意思決定者に伝えれば、未知は大幅に減少するに違いありません。

そこで、Amirと私は、次の制限/障壁は、新たなIT技術が緩和するだろうと提言しました:

今まで入手も使えもできなかったデータが必要な質問には、信頼できる答は得られない。

たとえば、多くの顧客が今の我が社の製品で見逃している機能・特徴は何ですか?

顧客にその質問をして答えをすべて記録するのも可能ですが、多くの人は答えてくれないかもしれないし、気付かず見逃しても見せたら分かります。突然ある商品の人気が出だしたとして、様々な情報源から得た原因に関するデータを分析すれば、この問に答えられますか?

どの会社にも、重要な質問に答えられないのは重大な制約です。多くの場合、本当に的確なデータを探して、効果的に分析すれば、相当大きな価値を生むに違いない新しい情報が得られるはずです。

データと情報の間の微妙な関係を明確にするために、ゴールドラット博士が1990年の著書「The Haystack Syndrome」の中で与えた「情報」の定義を挙げておきます:

情報とは、尋ねられた質問に対する答えである。

この定義は2つの洞察を強調しています。1つは質問する力です。何か尋ねるなら、ほとんどの場合、自分が困っていることなので、その質問に対する答えは、何かニーズを満たすものでもあります。

もう一つの洞察は、質問に答えるには特定のデータが必要で、質問を通してそのデータが情報になるということです。

組織をうまく経営するには、質問して疑問を晴らさないといけません。それら一つひとつの質問は、次の2種類の経営ニーズのどちらかに不可欠なものを浮き彫りにします:

  1. 新たなチャンスを特定し、どうやればその価値を引き出せるか突き止める。
  2. 新たな脅威を特定し、どうやればそれを排除または抑制できるか突き止める。

1番目は、成功するための新たな取り組みです。2番目は、身を守ることです。どちらもすべての組織に必要不可欠です。

さて、ゴールドラット博士の3番目の質問は次のとおりです:

その制限を回避するために今行っているルール、規範または行動はどんなものか?

多くの情報源からデータを収集する手段が無くて、意思決定者が決定を下さないといけないとすれば、次の要素をベースにしたやり方をしているに違いありません:

  • ERPまたは組織のレガシーシステムから得られた、お決まりのデータを使う。
  • 問題のテーマに関して組織内で最も詳しい重要人物の直感に頼る
  • 未知と感覚的リスクのせいで、超慎重な一般的アプローチを採用する。  

ここで最も重要な要素は、自分の経験に基づく直感の使用です。確かに必要なデータなのに違いありませんが、品質には疑問が残ります。客観性の欠如、様々な個人的偏見、どんな変化でも受容れるのが極めて遅いことは、直感の悪い面です。

直感はこれからも大きな役割を演じ続けます。しかし、真のビックデータ出現以前は入手できなかったデータに基づく確かな分析でもたらされる、当初の直感(特に隠れた前提)の妥当性をチェックし、新たな直感を誘発する新たな洞察を生み出す能力は、厳密な分析と直感の新しい関係を根付かせる可能性があります。

TOCの仲間は、直感だけでなく、実際のデータが最小限しかなくても優秀なマネージャーが正しい推測ができるような因果関係の分析が必要だと主張しています。これは時には真実ですが、どの因果関係も常に真実とは限らない観察結果に基づいているので、最も頑強な論理であっても、頼れるデータなしでは、あまりに未知が多いと太刀打ちできません。

ならば、新たな機会や新たな脅威を発見する能力を強化するには、膨大なデータにアクセスできるITの新たな能力を、どう使えばよいのでしょう?

このITの新たな能力を使う大きな罠は、フォーカスを見失い、データの探索と分析に膨大な労力を費やしたが、結局ほとんど何も見つけ出せないことです。多くの組織にとって、これは現実の脅威です。

私たちが提案する解決の方向性は、特別チームが下記の手順に従って実行し、本社機能として運営される高レベルの戦略プロセスの構築です:

  1. まだ満足に達成できていないが達成する価値のある目標の優先順位リストを決定する。
  2. それら目標各々に、実行を阻害する重大な障害とそれを克服するに何が必要かを特定する。私たちは、障害の多くは未知によるものだという前提に立っている。
  3. 上記に基づいて、今は十分確信できる答えは無いので、的確な答えが欲しい具体的な質問の優先順位リストを提示する。
  4. 質問に答えるのに必要な特定のデータを探す。普通は外部のデータから検索するが、得たデータは中央の内部ストレージにインポートする。
  5. 最優度トップの目標をどうやってより多く達成するか全体像を作る。この質問への答えは、因果関係の分析と直感を合わせて、考え得るアクションの選択肢を示したものにする。最終的な分析結果は意思決定者に提出する。

このプロセスは、情報機関が他国に対してするのと同様です。もちろん優先順位と手段は違います。国にとって、最も重大な質問は新たな脅威であり、新たな機会の方はずっと重要性が低く、彼らのデータ収集手段は通常違法で、政府から特別な許可を得てやるものです。

そのプロセスをカスタマイズして真のビジネス・インテリジェンスのためのプロセスにするのは、容易ではありません。模倣することの重大な間違いは、上記の基本的な違いを無視することです。しかしながら、既に確立したプロセスとの類似性とそこからを学ぶ機会を見過ごすのも、もう一つの大きな間違いです。倫理、優先順位、手段の違いを前提にすれば、基本的なニーズと分析手段は似通っており、ビックデータの出現は、潜在的な価値を具現化する絶好のチャンスをもたらします

これらの努力を追求することに価値を与えるのは、その根底の新たな洞察が、大企業の重要なパラダイムと衝突しないという単純な事実です。

私たちAmirと私は、このような取り組みに参加できるのをうれしく思います。ビックデータの価値をもっと深く探るというテーマでウェビナーを予定しています。その記録は、TOCICOのサイトhttps://www.tocico.org/page/replayで見れるんじゃないかと思います。

私たちは、新たな洞察を得ることで非常に厄介な質問に答えるためのシミュレーションの潜在的な価値について、また別の記事で取り上げるつもりです。実際どんな新技術もですが、ビックデータみたいに、シミュレーションは、著しく大きな価値をもたらす可能性を秘めていますが、その深刻な罠にかからない様、特別な注意が必要です。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

70歳にもなってブログを書く理由

自己紹介

この記事の原文: The importance of Big Data

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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