【ブログVol.16】保護能力とキャパシティバッファ

2016年2月25日
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関係、違い、そして戦略的な影響

Cute little cat on shelf with books on light background

棚スペースと保護能力

常にキャパシティを需要に一致させるのは不可能だ!

これは現在のすべての原価計算方式に対する挑戦のカギを握るTOCの重要な認識です。 以前の記事「キャパシティ・コストの非線形性」で、使えるキャパシティをすべて使う(価値を引き出す)ことが無理である3つの主な理由を述べました。最初の理由は、依存性と統計的変動の両方が存在する中で高い納入信頼性を保証するには、一定の保護能力を確保しておく必要があることです。

適切な保護能力の大きさは何が示してくれるか?

残念ながらTOCにはこの質問に答える計算式はありません!  しかし、保護能力が浸食されたリソースが一つでもあれば、しばらくして赤オーダーの数が急増するはずです。ですから、最近の負荷の変化を追跡すれば、約束どおり納入できる確率の安定性が危うくなる負荷の超過量を特定できるかもしれません。そういう状況に直面しそうなら、生産管理者の直感を使って生産計画で使う現実的な負荷の制限値を見積もるべきです。

何が必要な保護能力の大きさを左右するのか?

それには重要な因子が3つあります:

  • 市場が許容できる応答時間(許容応答時間)
  • 許容応答時間内での需要の変動の大きさ
  • 使用するタイムバッファや在庫バッファの大きさ 

適正な保護能力を維持することは、組織全体のパフォーマンスに非常に大きな影響を及ぼします。それは下記の問題や課題に影響を及ぼします:

  1. 組織が顧客に約束した水準に一致するサービス水準の確立。この一致は、組織の全体戦略に含めなければならない。
  2. 組織のI(投資:Inventory / Investment)とOE(業務費用:Operating Expense)の大半は、売上を支えるのに十分なキャパシティを維持するのに費やされる。そして、必要な保護能力の大きさは、全体でどれだけのキャパシティを保持するか決めるのに極めて重要である。
  3. 営業部門と生産部門の短期計画は、保護能力を確保する必要性が課す制限を勘定に入れたものでなければならない。

たとえ能力を需要に一致させることは無理でも、私たちは、使えるキャパシティを最大限有効に使って、同じI OEに対して相対的に高いスループットを生み出したいのです。

私の理解では、オペレーション部門は必要な保護能力のレベルは2つあることを知っていなければなりません:

  1. 最も弱い環になっているリソースの保護能力! たとえその最も弱い環がアクティブなCCRであっても、市場を満足させることが必達である以上、CCRにも一定の保護能力を残しておいて、マーフィーと緊急な要求に応えられる柔軟性を確保しておかざるを得ない。
  2. それ以外のリソースには、CCRを支えつつ、他のすべての緊急な要求に応えられるよう、もっと大きな保護能力を確実に確保しておかなければならない。つまり、CCRを最大活用する計画にちゃんと従属しなければならない。

定義:キャパシティバッファは、コストを費やして素早くキャパシティを増やせるすべての手段

上記の定義のキャパシティバッファには、残業、夜間や週末の追加シフト、派遣やアウトソーシングの使用が含まれます。そして、その第一の目的は、需要のピークをしのぐことです。

大きく投資して使えるキャパシティをまとめて増やす代わりに、超過分のキャパシティを使用量ベースで購入する組織にとって、キャパシティバッファは成長に不可欠です。間違いなくそれは組織の戦略と不可分です。

キャパシティバッファは保護能力としても使えます。それによってリソースを100%稼働することになっても、追加のキャパシティが必要になったらキャパシティバッファが使えます。ただし、少しでもキャパシティバッファを使えば、真の変動費(TVC:Truly / Totally Variable Cost)が増加し、単位当たりのスループットが減少するので、TとIおよびOEの計算に影響します。因みに、そういうTVCの増加はΔOEとして扱う方がずっと実用的だと私は思いますが、それは別の記事の話題に取っておきましょう。

キャパシティバッファの保持は戦略的な計画に含むべきものであり、その消費はバッファ管理で監視しなければなりません。どんなキャパシティバッファであれ有限です。ですから、キャパシティバッファを使い過ぎたら赤信号を出さなければなりません。どれかキャパシティバッファを使い尽くさない限り赤オーダーは発生しませんが、一旦使い尽くしたら赤と黒のオーダーが現れるのは時間の問題で、そうなってからでは直ぐ状況を打開するには遅すぎです!

キャパシティバッファの概念は、TOCにとって新しいものです。それは、アクティブな能力制約(CCR:Capacity Constraint Resource)とはどういうものかについて我々の理解に影響を及ぼし、スループット会計に大きなインパクトを与えます。

何かコメント、疑問や異議はありませんか? どうぞ、あれば遠慮なく言ってください。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Protective Capacity and Capacity Buffer

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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