【ブログVol.59】季節性に面と立ち向かう - まさに厄介な問題

2016年7月4日
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Chart showing peak season in September, 3d render

季節性(シーズナリティ)に対する唯一の対処法は、需要の増加予測に合わせて各品目のバッファサイズを変えるしかない、というのが一般的な考え方です。つまり、ある商品SKU1の目標在庫が100で、シーズン中は100%の需要増が見込まれるなら、単純にその間バッファを200に増やすということです。

えっ、まじですか?

バッファを増やせば、シーズン中ずっとSKU1が品切れしないと保証できるってこと?

上記の考え方の一番の間違いは、シーズン中も補充時間が変わらないという前提です。それが全く間違いであるケースが余りに多いのです。

何が補充時間に影響するのでしょう? 私たちは、補充時間を長くする間違った方針が多くあるのを知っていますが、それをすべて脇においたとしても、まだ非常に大きな影響を及ぼす変数がひとつあります。それは、最も弱いリンクの余剰キャパシティの大きさです。実際たった1つのリンクにキャパシティの100%近い負荷がかかると、補充時間が青天井に長くなることが分かっています。簡単なシミュレーションでその現象を確認できます。やってみてください。

そもそも、流通チャネルとして、売る品物を直ぐ補充する責任をシーズン中ずっとサプライヤーに押し付けておけるのですか? もちろん、そうしようと思えばできる。流通チャネルは、ビジネスルールを決める巨大企業なのが普通だからです。でも、万一それがうまく機能しなかったら、どうなります?

先に進む前に、ソリューションに影響を与える可能性が高い「シーズン」の特性は何なのか確認しておきましょう。私はまず、非常に異なる2つの「シーズン」を区別しておきたい。

一つは、祝日・祭日あるいは公共のイベントによる非常に短い期間の大きなピーク需要です。短い期間とは、補充時間よりも短いということです。そもそも補充が追いつかないのでは、基本的にTOCによる補充のアプローチは使えません。

もうひとつのタイプは、補充できる十分な余裕がある期間の長い需要のピークで、その場合はそう多く在庫を持たなくても、高いアベイラビリティを保証できます。

これがこの記事で言う「シーズン」の意味です。

シーズン中の補充時間はどうやって知るの?

私が言いたいのは、最も弱いリンクとその次に負荷の高いリソースは、負荷が大幅に増すだろうと想定されていても、どうなるか事前に知ることはできないということです。負荷の高いリソース同士の実際の依存関係と、その振る舞いを左右する内部の方針が分かっているとしても、リードタイムを十分正確に予測できる信頼性の高い数学的関数は得られないのです。

私たちにできることは、シーズン中でも、シーズン前の時間に近い補充時間を保てるよう、生産現場に十分な保護能力を確保しておくための手を打つことです。因みに、シーズン中の負荷を軽減する方法は2つあります:

  1. シーズン中は品揃えを減らす。そうすると、段取り替えの回数が減り、シーズン中の総在庫量がより少なくて済む。
  2. 売れ行きの良い商品のいくつかは、シーズン全体を通した需要をすべて賄えるくらい多目の在庫を事前に用意しておく

私が見たところ、大半の組織は提供する商品が多すぎます。豊富すぎる品揃えの問題は、既に以前の記事で取り挙げました。ここで重要な点は、その間深刻な品不足に陥っている一方で、全体として過剰な在庫を抱えて大きな損失を被っており、流通チャネルは、少なくともシーズン中は売る商品の品数を減らす努力をしないといけないことが非常に明確なことです。

2番目の方法は、ただバッファを増やすより、はるかに劇的です。その目的は、リソースのキャパシティを解放して、それ以外のすべての商品を素早く補充可能にすることです。十分大きなキャパシティを確保するに必要な在庫の品目は、需要の変動率が比較的小さく、シーズン後も十分大きな需要があり、仮に余っても引き続いて在庫が売れるといった、いくつかの要因を勘案して選ばなければなりません。通常は、売れ筋商品がその基準に当てはまり易い。

既に述べたように、流通チャネルは、サプライヤー側のキャパシティ不足も自分の戦略に関わる問題として扱うべきです。明らかに、商品構成をどのように変えようが、サプライヤーとチャネルの直接的話し合いが必要です。それでも、シーズン全体を通して高いアベイラビリティを維持できるだけのキャパシティがサプライヤー側に無い可能性があるなら、たとえばシーズン中の販売量を一定量約束するなど、複数の商品を多量に在庫生産するリスクを負うサプライヤーを、チャネル側として支援しなければなりません。

ところで、シーズン中に使う在庫を生産するからといって、単純に目標在庫をその分増やすという意味ではありません! シーズン中もキャパシティに空きを確保するための余剰の在庫なので、意図して目標在庫より多く生産するというだけです! 在庫の補充が必要なのは、流通システム内の総在庫が目標在庫を下回ったときだけです。

ということで、シーズン前の準備として2つの意思決定をしなければなりません:

  1. ほぼ同じ補充時間でより高い売上高を達成するに必要な新しい目標在庫
  2. シーズン前に在庫生産しておく在庫品の品目と数量。この数量は、最低でも、シーズン中の悲観的な販売予測を基準にすべきである。大雑把に言えば、それによって解放されるキャパシティで、今の補充時間をそのまま維持するに十分な保護能力が確保できればよい。  

もうひとつ忘れてはいけない洞察: 予想されるシーズンの終了より補充時間一回分前に、元の目標在庫のサイズに戻しておく!

需要がダウンする直前に補充するのは明らかに気持ちのいいものではありません。DBM(Dynamic Buffer Management:動的バッファ管理)はシーズンの開始と終了を察知するのが遅過ぎるのは覚えておいてください。売れ行きの変わり目の予測は直感的な予測に委ねるべきです。季節性の数学的な予測は、何年も遡ったデータが必要で、それが可能のは市場の主なパラメータがその間変化しない場合だけなのです。

因みに、キャンペーン販売は自ら招く季節性です。その期間は、通常の季節需要よりも短く、何かのイベントが原因のピーク需要よりは長いのが普通です。キャンペーン販売を取り上げた記事は近い内に投稿するつもりです。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Facing Seasonality – the true problematic issue

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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