【ブログVol.64】トラブルから学ぶチャンスとしてのPayPalの悪いサービスの分析

2016年8月5日
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Moscow Russia - February 27 2014: Online shopping paid via Paypal payments using plastic cards Visa and Mastercard. PayPal is a popular and international method of money transfer via the Internet.

PayPalは、クレジットカードや銀行システムと競合する、インターネット経由で支払いができる安全な送金サービスを提供しています。その安全性と使いやすさが決定的な競争力(DCE:Decisive Competitive Edge)です。しかし、どんなに強力なDCEでも、競争の激化で差が埋まり、独自の優位性を失いかねない悪いサービスになっているかもしれないことを常に監視していなければなりません。

事の発端はアメリカとの少額取引でした。私はPayPalの口座経由で入金を知らせる嬉しいメールを受け取りました。でも問題は:

私の口座には支払い記録は何もなかった!

これは、基本的なサービスのどこかが崩壊し、カスタマーサービスの緊急な対応が必要な典型的な瞬間です。

話を掻い摘んで言うと:私はお金を受け取っておらず、非常に長い時間を費やして、イスラエルのPayPalのカスタマーサービスの5人と話をし、その間多くのやり取りをしました。サービス担当者は何が起きたかについていくつか推測を述べてくれたが、私の不満は少しも収まりませんでした。最終的には、次の判断が下されました:

送金者は、米国では許可されているがイスラエルでは許されていない「個人」として取引したとされた。

この方針によると、PayPalは送金を事前に拒否していなければなりませんでした。もう一つの失敗は、カスタマーサービスの人々は、取引が拒否されたという情報を受け取っていないことです。

特に、PayPalは送金が拒否されたことを私に知らせなかったのは大失敗だった。そうしてくれていたら、その後で私はお金を請求できただろう。

どうしてでしょうか?

送金の受領者に対する返済責任は一切負わないのがPayPalのポリシーなのか?

単純なサービスでそんな失敗をするのは、PayPalにとって危険でしょう。私は、このトラブルは経験から学んで正しい教訓を得る契機になると思います。私の様な顧客がそのような扱いを受けたら、少なくとも、他に許容可能なサービス提供者がいる限り、それらの顧客はPayPalとそれ以上取引したくないでしょう。

サービスへの期待と結果の第一のギャップは:

期待: 受領者に入金の通知があった口座には、必ずそのお金がその口座に振り込まれている。

実際の結果: 私はメールを受け取ったが、お金は振り込まれていなかった!

次のステップは上記のギャップに繋がった事実を見つけることです。カスタマーサービスと私の長い交渉を通して、私はいくつかの事実に接しました:

  • 取引は辞退されたらしい。公式な理由では、私、受領者がそれを辞退したことになっている。 それは事実じゃない!
  • 私が住むイスラエルのPayPalには、たとえそのサービスが米国のPayPalが提供するものでも、個人的な取引は辞退するという方針がある。   

私の主な仮説は次のとおりです:

個人的な取引が米国で始まると、PayPalの全体システムがそれを受理する。一方、イスラエルでは、おそらく人間が介入して、その取引が個人かビジネスかを確認して、個人の取引なら辞退する。しかし、取引が受理されなかった理由についての情報は何も記録されない。そうなると、受領者がお金の受け取りを辞退したというのが、分かり易い推測になる。

ITシステムの大きなバグといった他に考え得るどんな仮説も、こういう神経質な国際組織には当てはまらないだろうと私は思う。だから、私は上記の仮説が正しいと仮定します。

期待と結果のギャップに繋がった事実の裏には、必ず間違ったパラダイム(考え方)があります!

私の仮説が正しいとすれば、間違ったパラダイムは次のとおりです:

どの地域であれその市場個別のポリシーは、それ以外の地域の市場でのポリシーに深刻な悪影響を及ぼすことなく独立である。

この考え方には重大な間違いがあります。実際どうなるかというと、特にサービスの中核に国際的なオペレーションがある場合は、別々の地域同士でポリシーがしばしば衝突するのです。世界の他の地域では個人取引を喜んで受け入れるのに、イスラエルのPayPalはビジネス取引だけに集中するのが良いと思うなら、双方向でそのような取引がスムーズに実行できるようにすべきです。しかし、イスラエルから米国に対する個人的取引を防ぐのは比較的容易でも、米国からイスラエルに対する取引をタイミング良く防ぐのは容易ではありません。この考え方を有効にするには、超高度なシステムを作らないといけません。そのシステムは、あらゆる場所のポリシーを含んでいて、電子メールの内容から、取引に関わる場所が世界のどこで、その地域のルールはどんなものか識別できる能力を備えていななければなりません。しかし、高度なシステムは、単純で簡単なシステムよりはるかに多くのバグに晒されるのです。

私がこれまで遭遇した間違った扱いは、約束したサービスの不履行が沢山ある中で本の一例にすぎません。

ということは、イスラエルのPayPalが行った意思決定が、PayPalの世界全体での評判と信頼性に有害な影響を与えるかもしれないということです!

元の考え方を正すにはいくつかの選択肢があり、どの案にもそれ固有のマイナスの副作用があります。その一つの案が超高度なシステムの開発です。

もうひとつの選択肢は、地域のポリシーは外に出る取引にはすべて適用するが、入ってくる取引には適用しないことです。

さらに別の選択肢は、PayPalが、同じポリシーとルールを使って、世界中で同じサービスを提供すると決定することです。私ならこの選択肢を選ぶだろうが、それはまた別の種類の分析になります。

PayPalの社員がもっと一般的な事例にフォーカスした議論に参加してくれたら私は嬉しい。

学習する組織では、まさにそれが起きているのです。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Analysis of an incident of bad service by PayPal as an opportunity to learn

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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