【ブログVol.112】成果測定に関わる問題と解決の方向性

2018年4月9日
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metaphor recipe of the perfect ingredients for success

「あなたが私をどう評価するか教えてくれたら、私がどう行動するか教えましょう」というゴールドラット博士の有名な格言は、人の評価すべての暗い面を示したものです。それは、当人の行動に影響を及ぼし、ひいては組織全体の行動を左右します。マネジメント層の期待は、成果の測定が好影響を与えて、社員は最高の結果を達成しようと全力を尽くすだろうことです。残念ながら、ほとんどの場合、逆のことが起きています。私たちがいつも意識しているわけではありませんが、もう一つ別の面をあげると、売上が第一の評価だと、マネージャーの中には、売上を追求するあまり法律その他道徳的なルールを破る者も出るかもしれません。2008年のリーマンショックは売上第一がもたらした結果の一つにすぎません。

制約理論(TOC)は、部分と全体の成果測定の衝突を深く探って、如何に部分が全体を害すか示しています。確かにそれは最も重大な問題の一つですが、それについて書いたものや解説がたくさんあります。しかし、成果測定には、それ以外にもネガティブ・ブランチ(潜在的な悪い副作用)があります。

ちなみに、成果測定の重要な目的は、現在の成果の全容を示して、それを改善するためのアクションに結びつけることです。

すべての成果測定の破壊的な側面は、それに対する個人的解釈です。マネジメント層、実はそれより下の多くの管理者と社員も、実際その測定で自分の責務を果たしたか失敗したか評価されます。この関係が、ゴールドラット博士のあの有名な格言の背景にある破壊的な結果を引き起こすのです。私には当然に思えることを敢えて述べておきます:

成果測定は、せいぜい現在の状態を表すにすぎない。だから、決して「どうしてそうなったのか?」という疑問に対する答えではない。

次何をすべきか決めるには、今の状態を明らかにする成果測定は絶対必要ですが、それでは十分でないのも確実です。測定の結果を説明する分析もしなければなりません。私は「悪い結果の説明」は不快なのは分かっていますが、その結果はもっと大きな問題の症状です。根本の問題を特定するには、悪い結果を率直に認めなければなりません。「それに関わった者が愚かだった」みたいな説明なら、じゃあなぜ不適格者にその仕事を与えたのかという、もっと本質の疑問が沸いてくるはずです!

成果測定をさらに問題の多いものにするのは、目標の枠を決めてしまう傾向です。目標を確定することには、本質的にマイナスの特性が2つあります:

  1. パーキンソンの法則によれば「仕事は与えられた時間を使い尽くすまで延びる」 どんな定量的な目標にもその法則が当てはまる。理屈は単純:目標を超えると、次は目標を引き上げられるから、自分の将来にとって損だ。だから、ピッタリ目標どおり終えるのが一番。妥当な目標に下げることも含め、ほとんどの手段が許されており、より上を達成しようと絶対しない。私が知る限り、90%の仕事がピッタリ予定どおり終わると主張する組織がいくつもある。この統計的にあり得ない結果が、パーキンソンの法則が正しい証拠である。
  2. 目標設定そのものに問題がある。奇跡を願って目標を決めることさえある。また時には、一番トップの目標にはある程度合理性があるものの、それ以下は皆、程度の差こそあれ、より上位の目標をサポートしなければならないという条件しかない、どうにもなる既定の目標になっている。それら下位の目標は、中間層のマネージャーが何とかして行き過ぎないようにする自制的なものになる。

目標設定の裏の意図は当事者の「成功」と「失敗」を分けることです。その思いは社員を秀でさせることです。しかし、それは他方で、恐れと不信、ごまかしを生みます。どこにもある典型的な対立なのです。私が思うに、明確で定量的な目標を与えないと、社員は、でき得ることをすべてやって自分のミッションを最高レベルまで達成しようとしないという、基本的な前提が間違っているのです。厄介なのは、目標が自己実現的な暗示になることです。社員が目標を与えられるのに慣れてしまうと、明確な目標の設定をなくせば、社員は一体何をしたらよいか分からず、ちょっと何かするが、決してやり過ぎないようになります。そうなると、マネジメント層からよほど明確なメッセージを伝えない限り何も変わらず、本気で受け取ってもらうには長い時間がかかります。

成果測定でもう一つ問題になる面は、期間への依存性です。たとえば、来年度始めに大きなピーク需要が見込まれるので、今年は相当量の在庫を生産しておかなければならないとしましょう。今年は、おそらく残業で業務費用(OE)が相対的に高くなるが、スループット(T)は相対的に低いはずです。来年度のTは今年よりずっと高くなるでしょう。ここで問題:マネジメント層はこの因果関係を承知しているか? 知らないとした場合、TOC流の会計では在庫が少しでも増えたら褒められないが、生産現場は翌年度の在庫を生産するのに協力してくれるか?

成果測定の悪い副作用にどう対処すればよいのか?

私は、これが、未来永劫繁栄し続けようとする組織すべてにとって、重大な問題だと思います。その解決策を「リーダーシップ」と呼ぶのは、問題の解決を妨げる障害を過小評価し、あたかもそれが解決策かのように曖昧な話をしているだけです。私が考えるのは、見通しが無い一点見積もりの約束より、幅を持たせた予測を立てて、潜在的なリスクをオープンに議論し合い、実際開始の合図が出る経営会議までに再度議論が必要かもしれないが、最終的に経営陣が合意して決める、経営の意思決定体制を作り上げることです。それは、ひとりの指導者のカリスマ性に過度に依存しない手続きであるべきです。

要するに、避け得ない不確実性は素直に受け入れて、条件反射的に人を非難せず、間違いの可能性を認めて、間違いを改める努力をするというやり方が、うまくいく解決策なのです。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

70歳にもなってブログを書く理由

自己紹介

この記事の原文: The problem with Performance Measurements and how to deal with them

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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