【ブログVol.32】スループットの考え方

2016年3月22日
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スループット(T:Throughput)はTOCの中心概念であり、経営すべての中心概念であるべきのものです。私の理解では、それは組織が生み出す付加価値を表わすものです。それで、今回は、TとI(Investment/Inventory:投資・在庫)、OE(Operating Expenses:業務費用)を用いて、より優れた意思決定をすることの価値にフォーカスを当てようと思います。

因みに、営利組織でのTの公式な定義は、収入から真の変動費(TVC:Truly-Variable-Costs)を差し引いた金額です。

Tの計算には水の費用をお忘れなく

Tの計算には、水の費用もお忘れなく

このTは、期ごとの業績指標として用いる以外に、単独の意思決定の財務的貢献、つまり、目下の意思決定によるスループットの増分ΔTから業務費用の増分ΔOEを引いた値 を評価するのにも使います(訳注: つまり、純利益の増分ΔNP = ΔT - ΔOE)。

このTの定義で収入の部分は比較的簡単です。しかし、収入が入るタイミングを考慮すべきか否かはまだ決着していません。たとえば、来年入る$1,000 のTは、今日入る$1,000のTと同じでよいのでしょうか? その話しはまた別の機会に取り上げようと思います。

それより重要な問題は、収入への不確実性の影響です。意思決定は常に将来に目を向けたものなので、我々が得るだろう収入は常に予測に基づいたものです

収入をどうやって予測するかに加えて、「そもそも何をTVCに含めるべきか?」 という問題もあります。ゴールドラット博士は、TVCと見なすべき「変動費」を注意深く扱うよう我々に警告する意味で、「真の」という形容詞を追加しました。

ここで私は、TVCの扱いで厄介な2つの重要な問題を強調しておきたい。

1番目:原材料費は常にTVCに入れるのか?

2番目:高レベルの意思決定は、小さな意思決定では変化しないような費用を含むことがある。それもTVCに入れるのか?

そもそも、我々はなぜ原材料費はTVCに入れるべきだと言うのだろう?

普通、最終製品の確定注文を受け取るずっと前に原材料を購入します。つまり、我々が販売したか否かに関係なく費用が発生するということです。ですから、そのコストは販売が直接のトリガーになっていません! では、なぜ我々は、通常、材料費を業務費用(OE)には入れず、変動費としてTの計算の方に入れるのでしょう?

因みに、定期的に原材料を補充している場合は、最終製品の販売はどれも、材料購入のトリガーになっていると考えて差し支えありません

ですので、そういうケースは、原材料費をこれまでどおりTVCとして扱って正しいのです。

その考え方からすれば、ある製品の生産を停止すると決めたら、その後はその製品の販売では材料費をTVCとして扱うべきでないことになります。したがって、生産を停止した製品は、市場価格が材料コストより安いという理由で売らないのは間違いです。この場合に重要な問題は、既存の他の需要に使わない空きのキャパシティが十分あるかどうか旧製品を値引きで売るせいで、定価で売る製品の売上が奪われたり、市場のブランドイメージが低下したりしないか、その2点だけです。

仮に、材料費が20%上昇したことを知ったとします。幸い、材料はまだ2ヶ月分賄うに十分な在庫が残っています。そういう場合、製品一個あたりのTは大きく下がることになるが、TVCを新しい値段に基づいて更新すべきでしょうか?

私はすぐ更新すべきだと思います! 「すべての販売が材料補充のトリガーになる」という前提を忘れないでください。これはTVCに含める材料費の本質的な前提です。

もうひとつ考えないといけないのは、高レベルの意思決定の変動費です。たとえば、乗客が一人増えるときは、TVCの増加は大部分重量増加による燃料消費の増加で、非常に小さなものです。しかし、欠航や臨時便の追加となると、まったく違うレベルの変動費になります。フライト全行程の燃料消費は、間違いなく極めて大きな変動費です。また、搭乗員のコストには、フライト時間と遠隔の都市での滞在時間に応じた変動要素が含まれます。私が思うには、フライト一回当たりのメンテナンスコストもTVCに入れるべきです。なぜなら、それは飛行X時間ごとに義務づけられたコストであり、フライトのキャンセルでその後のメンテナンスコストが相対的に低くなるからです。

しかし、そういう「高レベルのTVC」もTの計算に入れるべきなのか?

私は、単独取り引きの真の変動費だけをTVCと呼ぶのを提案したい! そういう場合はスループットを明確に定義できるし、欠航や臨時便のような高レベルの意思決定では、その決定で生じるすべての費用をΔOEにとにかく含めればよいでしょう。そうすれば、ΔT ΔOE > 0いう計算で得られる判断基準は無傷のまま生き残ります。

ヨーロッパ在住の読者でしたら、スループット会計の自分のビジネスへの適用の潜在的可能性を学んで、T、I、OEのパワーの広範な展開に触れてみたい人は、10月パリで行う私のセミナーを知っておくべきでしょう。詳しいことはhttp://www.marris-consulting.com/en/Formation-Throughput-Accounting-253.html(訳注:http://www.marris-consulting.com/en/throughput-accounting)をご覧ください。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Clarifying the Concept of Throughput

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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