【ブログVol.42】良い計画とは? 計画と実行の関係

2016年4月12日
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After analyzing complex formulas the businessman realizes the best result is to keep it simple.

ひとつの「計画」は意思決定と実行指針の集まりで、そのほとんどは、望む目標を達成するために将来のどの時点かで実行しないといけないものです。そして、どんな計画であれ、一番最初のミッションは、その計画の目的・目標、品質基準を含めた成果物を記述することです。

たとえば、CCPMによるプロジェクトの計画は、何を誰がどういう順序で実行すべきかを示す意思決定の集まりの典型です。その目的は、決められた期日までに、プロジェクトに与えられた特定の成果を達成することです。つまり、与えられた要求を満たし、約束した予算と納期を守ることが、ほとんどのプロジェクトの達成基準です。そして、どんな計画でも、その目的から他のすべてが導き出されるのです。

しかし、予定通り望む結果が得られなかった場合、その原因が、計画の不備、実行ミス、あるいは稀な不運のどれだったかは簡単には判断できません。

ひょっとして本当はできる?

いつも目標が達成できていないようなら、ほぼ間違いなく、コアの問題は計画の不備です。なにはともあれ、リソースのスキルやキャパシティの制限は、計画の段階で対処しておくべきです。

目標の達成には次の2つの問題が付きまといます:

  1. 複雑性 - 部分的な依存関係がある変数があまりに多すぎる。
  2. 不確実性 - その厄介な依存関係がある上に、重要な変数が変動する。

意外でしょうが、私がゴールドラット博士から学んだ最も重要な洞察のひとつがこれです:

複雑性と不確実性が組み合わさると却って状況がシンプルになる!

不確実性は我々がそこから先は知り得ないという境界線を引くので、ゴールドラット博士はそれを「システムの雑音」と呼びました。要は、その雑音より小さな影響しか及ぼさない変数は無視するしかないのです。つまり、何かを変えるあるいは実行すると提案するなら、システムの雑音(不確実さ)よりずっと大きな効果が期待できるものでないといけません。それ以外はまったく無視して構わないのです。

すべての計画に必要な要素:

どんな意思決定もタイミングが重要です。早すぎる決定はそれ自身大きな不確実性が伴います。かといって、手遅れになるほど遅らせたくもない。ですから、何か細かな指示を計画に含めるときは、次の質問にちゃんと答えられるものでないといけません:

指示内容を決めてしまうのは時期尚早ではないか?

何時が適切なタイミングかは、実行段階で現場に決めさせてはどうか?

たとえば、あると便利だがなくても済む機能をすべて新製品の開発計画に盛り込まないといけないですか? リソースのキャパへの負荷が実際どうなるか、実際競争にさらされたらその機能にどれほど価値があるか、そういうことは計画立案時点では正確には分かりません。ですから、間に合わせるなら直ぐ着手しないといけないときまで、その機能を入れるか否かの決定を遅らせた方がよくないですか?

そうやって出てくるものは、少しでも計画から逸脱したら、目標の達成が危うくなるか遅れるような、最もクリティカルな要素だけを含んだ本当にリーンな計画になるはずです。

すべての計画に必要なもう一つの要素:

達成を危うくし得るすべての脅威から目標を守ること。TOCでは、納期とアベイラビリティを守るのにバッファを使います。さらに、能力(技能)、キャパシティ、予算、使われる技術に関わる重大なリスクも、何がしかバッファで守ることを考えないといけないでしょう。

上記の2つの要素が及ぼす変化は次のとおりです:

  1. どんな計画も、遅くまで放置すると深刻な損失を与えるだろう要素だけに絞らないといけない。しかし、後の意思決定に対する一般的なガイドラインと、間違って見落とさないためのチェックリストは、含めておいてもよいかもしれない。
  2. 計画には、その中の脆く脆弱な要素を守る、目に見える明確なバッファを含めないといけない。

一方、実行の役目は、計画の目的・目標を達成することです。より多くの意思決定を実行に委ねるほど、不確実性に対する免疫性が高くなります。しかし、同期の問題、重要な要件、その他影響が広範囲に及ぶ意思決定は、計画立案の段階で扱う方がよいでしょう。

この20年間、我々はいくつかの代表的な計画手法の惨めな破綻を見てきました。 I2、SAPのAPOなど、多くのAPS(Advanced Planning and Scheduling)ソフトウェアがほとんど消え去りました。そういう手法に共通する好ましくない問題は、いつか必ず起きる日常的な不確実性に対する脆弱性です。いろいろな意味で、プロジェクトの一般的な管理・計画手法は、約束した納期と要件を常習的に守れていませんでした。細かな費目を沢山含む予算計画も、同種の極めて不確実性に弱い不合理な計画法です。

先進的で高度な計画法の破綻で、計画立案をバイパスして実行だけに専念しようとする動きが出始めました。しかし、計画を放棄してしまうと、真に価値のある目的・目標が何も達成できない、あるいは顧客に何時どんな価値を提供すると約束できるか?という重要な情報が経営トップに伝わらなくなるなど、悪い副作用がいくつも出てきます。

これに対して、全体的な視点から目的・目標を定めて、本当に重要なところはすべてバッファで守りつつ、それらをスケジュール表に並べるのが、TOC流のやり方です。しかし、本当のところ、目に見えるバッファの使用は、我々TOCコミュニティの中でも、まだ意味が完全には理解し切れていないパラダイムシフトです。たとえば、S&T(Strategy & Tactic Tree:戦略・戦術ツリー)のどこがバッファでしょう?

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: What is a Good Plan? The relationships between planning and execution

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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