【ブログVol.18】共同の意思決定:不確実性の影響全体のチェック

2016年2月26日
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前回の記事では、市場に関する意思決定、能力プロファイル(Capacity profile)、そして、確かそうな選択肢をチェックしてより良い答えを得る方法の関連性を示しました。

The words Pain and Gain on a matrix of choices showing how to minimize pain or sacrifice in order to maximize returns and results

前回の記事の例は、取り巻く不確実性が比較的小さいものでした。しかし、需要を高めるためのアクションは、ほとんどの場合、どれも高い不確実性を伴います。それ以外の因子も、たとえば稼働率の予測などは、不確実性の影響を受けます。

まず、答えが必要な重大な問題は何だったか思い出しましょう:

目下検討中の決定で、純利益(NPNet profit)は伸びるのか落ちるのか?

つまり、納得いく決定をするのにNPに対する影響を正確に知る必要はないのです! 知りたいのは影響の方向です。また、組織が存続できる最悪のケースも確認する必要があります。組織を潰しては元も子もありません。その実用的な方法は、組織が耐えられない状態を定義したレッドラインを設定して、組織をその状態に近づけ過ぎるような決定を一切しないことです!

将来の予測はどれも不確実です。しかし、経営幹部と専門家幹部の貴重な直感を使って注意深く見れば、全くあり得ない領域との境界線は見極められるはずです。その診断から起きそうな結果の範囲の見積もりが得られます。それが誇張でない前提で、私の提案は、得られた範囲の両端の値で影響全体をチェックすることです。

たとえば、材料費が20%上昇して、単位当たりのスループット(T-per-unit)が$20から$14 (以前の70%)に下がったとしましょう。財務担当は、販売価格を10%($50から$55)上げてコスト増のほとんどを補填するよう主張しています。一方、営業担当重役は、そんなことをしたら、おそらく50%、最低でも20%は販売量が落ちると主張しています。さらに彼女は、競合他社の何社かが値上げするようなので、価格を据え置けば売上が10〜20%増えるだろうと言っています。

さて、他に頼れる情報源が無いので、営業幹部の直感を尊重するとして、あなたならこのケースをどう処理しますか?

私の提案は、以下に示したように、財務と営業の提案それぞれに、合理的な悲観的シナリオ楽観的シナリオを作って比較することです。

現在のTの金額をNTとし、新しいTの金額をRTとします。

価格を据え置く悲観的シナリオ: RT = (0.7*NT)*1.1 = 0.77*NT

価格を10%上げる(Tを約0.95*NTにする)悲観的シナリオ:  RT = (0.95*NT)*0.5 = 0.475*NT

価格を据え置く楽観的シナリオ: RT = (0.7*NT)*1.2 = 0.84*NT

価格を10%上げる楽観的シナリオ: RT = (0.95*NT)*0.8 = 0.76*NT

さて、結論はどうなるでしょう?

悲観的シナリオの方が現実に近いなら、価格を上げるべきではありません

楽観的シナリオの方が現実に近いなら、価格を上げるべきではありません

もう、結論はお分かりですよね。

しかし、もし双方拮抗して結論がでない場合は、予想される損失と利益を熟慮の上で経営判断しなければなりません。そして、損失を検討する際は、それが組織のレッドラインを超えないことを確認しなければなりません。超えたら他方の決定を選択します。

ところで、売上の10〜20%増加がキャパシティにどう影響するか、まだチェックしていませんでしたよね。必要な保護能力を食い込むリソースが一つである場合は、上記の結果が変わるかもしれません。私は、今の売上高なら、現在のTで完全に賄える範囲でいくらか残業すれば、おそらく現有のキャパで十分達成できると思います。しかし、10〜20%も売上が増えるとなると、そうはいかないかもしれません。ですから、その点もチェックしなければならないのですが、この記事は短かく簡潔にしておきたいので、とりあえず20%売上が増えても、今のキャパシティで足りると仮定しておきます。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Mutual Decisions: Checking the Full Ramifications of Uncertainty

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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