【ブログVol.80】予期しない驚きから学ぶ: その障害を克服する必要性

2016年11月25日
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今さらですが大きな驚きなのは、私たちの現実についての重要な洞察を学べる機会が実際あるんだということです。私たちは、幾度もその機会に気付かない振りをしつつ、幾度も間違った教訓を学んでいます。ですから、私たちは、学ぶべき教訓を学ぶにはどうしたらよいか学ばないといけません

それは悪い驚きだが良い驚きでもあり、我々の頭のどこかに間違ったパラダイムがあるという我々への示唆です。パラダイムとは、因果関係のツリーの中で私たちが無条件に正しいとしている小さな枝ですが、何か予想外のことが起きたのであれば、そのツリーのどこかに間違ったパラダイムがあるのが発覚したということです。

驚きからそれを学ぶには、先ず、事前の予測と実際の結果のギャップをちゃんと言葉にしなければなりません

私は米国大統領選挙に関する最新のニュースを引き合いに考えたい。政治的なことには一切興味ありません。私の関心は、世論調査の予想がどれも外れたことです。何がギャップだったかと言えば、 「我々は世論調査の予想を信じるしかなかった」が、いざふたを開けたらまったく逆の結果だと分かって、政界はもちろん組織の経営にも多くの現実的な疑問を投げる大きな驚きだったことです。ここで一番分かり易い教訓は、概して世論調査を信じるのは止めた方が良いということです。これって正しい教訓ですか???

そういう教訓は実務的に極めて大きな影響があります。なんだかんだ言って、世論調査の核になっているような統計モデルは、多くの決定の指針になる経営情報として重要なツールになっているからです。

予想外の経験から学ぶ最初の重大な障害は次のとおりです:

間違った教訓を学ぶ危険性が高い

そして、予期しない驚きに対処するときの最初の教訓は次のとおりです:

早合点するな!

因果関係をよく考えず、いきなり複数の説明を提案するよりも、現実の因果関係のもっと深い理解に基づいた現実的な結論に導くような、最終的に正しい教訓を突き止めましょう。

たとえば、予想できない「稀な出来事」だったと主張するのは可能です。どっちみち、予想を100%当てる自信があると言った調査はひとつも無かった。仮に90%だと言ったにしても、結果が外れる確率が10%あるということなのです。

上記の「稀な出来事」説が間違いだと証明できないのは、厳然たる事実です。しかし、今回米国の世論調査が全部外れた事件は、英国(Brexit:英EU離脱)とイスラエルの世論調査と同様の失敗で、さらに輪を掛けたものです。そのすべてが稀な出来事だという可能性もあり得ますが、その見込みはなさそうです

考え得る説明をいくつかを挙げると次のとおりです:

  1. 事前に単刀直入な質問をしたとしても、それだけではその人々が実際どうするか予測するのは無理だ。つまり、大衆の反応をどう予測すればよいか我々には分からない。そうだとすれば、どんな市場調査も役に立たない。
  2. 信頼できる世論調査は可能だが、現在の方法に本質的な共通の欠陥がある。実は、この仮説は、その欠陥に関するもっと詳細な仮定によって、いくつかの分類に分かれる。
    1. 社会の重要な部分を無視または軽視したやり方で統計的サンプリングを行っている。
    2. 多くの人々は正直に答えない。
    3. 多くの人々は土壇場で気が変わる。
    4. 多くの人々は仲間内のリーダーの影響を受けており、自分自身の強い意見を持たない。
    5. 人々に自分の優先順位(たとえば、投票に行くか、買い物に行くか)を訊いても、実際それに従うわけではない。
  3. 世論調査をやると、多くの人々が調査結果を変えるような反応をする新たな状況が生まれる。
  4. 世論調査は、回答者の間での情報交換の影響を考慮せず、数式にばかり頼り過ぎている。
  5. 世論調査は、何か具体的なことは何も示さず、多くの人々は「統計誤差」の意味を理解していないので、ひどく誤解されている。 

これら考え得る説明はひとつ一つ、それを裏付けるか否定する別の結果を探すのも含めて、因果関係ロジックを用いてちゃんと吟味しなければなりません。そうして最終的に他より可能性の高いひとつの説明に至り着くのです。改めて言っておきますが、私たちは「決して知っているとは言わない」という言葉を肝に銘じつつも、不確実性の程度はともかく、「私は何も知らない」と言わずに、ちゃんと考える方が豊かな人生を送れる可能性がずっと高まります。

一般的に言うと、間違ったパラダイムを特定しただけでは、分析が終わった事になりません。それに代わる新しいパラダイムを考えて、その新しいパラダイムの実際の波及効果を分析しないといけません。

私には、自分一人で世論調査の失敗を完全に分析できるだけの知識はありません。それは、世論調査に関わった人々と、隠れた前提条件(仮定・仮説)を見つけて、それらに異論を言える別の人々が一緒になって行うプロセスです。問題は、そんな真剣なプロセスを本当にやれるのか?です。

そういう分析に興味を示すに違いないグループは次の2つです:

  1. 政治家、選対幹部、さらには経営幹部(特にマーケティングと販売の責任者)。
  2. 世論調査を実施または研究する仕事を通して影響を与える、統計学の学者と専門家。

最後に本当に大きな障害は:

本当に自分の間違いを認める気があるか?

この障害は感情的なもので、裏に何か理屈があるわけではありません。しかし、それは大規模に存在し、極めて大きなダメージを与えます。それは、私たちが生涯に犯す失敗に繰返し影響を与え、何も肯定的な結果を生みません。私たちは自分の自尊心を守りたいだけですが、そうすると却って自尊心を守れないのです。

結局、鏡に映る自分をじっと見るかどうかは、自分自身の意思の問題です。そんな強い感情を抑えるのは無理だと言う人もいるでしょう。うまい言い訳です。私は、なぜか、そうすると決めて大成功している人を大勢見てきました。多分、間違いの全部ではなくても、いくつかでも克服できたら、もう成功したも同然なのではないでしょうか。因みに、その1人はゴールドラット博士でした。彼は、間違いなく相当苦労しましたが、最終的には、他の人の功績を褒めることができるようになりました。

一度限りの出来事から学ぶことについて、もっと詳しく知りたい場合は、このブログのメインメニューから「記事、ビデオ、その他」を選択して2番目の記事:「Learning from ONE Event – A white paper for expanding the BOK of TOC(一度限りの出来事から学ぶ - TOCの知識体系を拡大するためのホワイトペーパー)」をご覧ください。

 


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著者: エリ・シュラーゲンハイム
飽くなき挑戦心こそが私の人生をより興味深いものにしてくれます。私は組織が不確実性を無視しているのを見ると心配でたまりませんし、またそのようなリーダーに盲目的に従っている人々を理解することができません。

この記事の原文: Learning from surprises: the need the several obstacles

全ての記事: http://japan-toc-association.org/blog/

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